物理現象のシミュレーション技術やコンピュータ・グラフィックスの描画技術の開発を手掛けるプロメテック・ソフトウェアは,パソコン用のグラフィックス描画処理LSI(GPU)で物理シミュレーションを高速化する技術を開発した。粒子の挙動を解析するソフトウエアを,GPUでの実行に適した構造に改良することにより,パソコンのマイクロプロセサで実行する場合に比べて100倍以上の高速化を達成した。GPUが備える多数のプロセサ・コアを効率良く利用するために,ソフトウエアをどのように改良したのかを解説してもらう。(竹居 智久=本誌)

原田 隆宏
プロメテック・ソフトウェア チーフアーキテクト
東京大学情報学環 助教

 我々は,流体などの挙動を計算する手法の一つである「粒子法シミュレーション」のソフトウエアをパソコン用のグラフィックス描画処理LSI(GPU)での実行に適したものに改良することによって,処理を大幅に高速化した。例えば,ある条件下において,パソコンのマイクロプロセサでは1秒間に約0.55回しか処理できなかった計算が,GPUでは1秒間に約55回計算できるようになった。この条件では2ケタの性能向上を達成したことになる。