CAEの精度向上で開発試作を減らす

 かつての自動車開発では設計品質を“試作”の繰り返しで高めていたが、今や試作はできる限り減らしたい。自動車メーカー各社は現在、その試作のうちアッパーボディの開発試作車の廃止に取り組んでいる。設計が完了してモデルを凍結した後は、量産試作まで試作車がなく、10.5カ月という短期間で量産した例もある。デジタル開発を推進する日産自動車、マツダの取り組みを紹介する。

 試作をなくすため、現在自動車メーカーが注力しているのが、試作型を使ったアッパーボディの開発試作車を廃止することだ。これによって、モデル凍結から量産までの開発期間とコストを削減し、同時に設計初期段階から品質を作り込むことを狙う。
 こうした取り組みは、日産自動車が導入したデジタル技術を用いた開発プロセス「V-3P(Value up innovation Product Process Program)」で実施しているほか、マツダも進めている。日産、マツダ以外も基本的な方向は同一だ。

日産自動車の「V-3P」プロセス
日産自動車の「V-3P」プロセス
プラットフォーム、パワートレーンが流用と新規で試作の回数が異なる。