特許情報を活用した技術動向調査の手法を紹介する連載の最終回。今回は携帯電話機の分野に焦点を当てる。半導体メーカーにとって携帯電話機市場は魅力的な半面,熾烈な競争が予想される。今回,著者は同市場で勝ち抜くための三つの仮説を立て,その妥当性を特許情報から検証していく。(木村 雅秀=本誌)

大嶋 洋一
東京工業大学 精密工学研究所 知的財産利用支援システム研究部門 客員教授

 携帯電話機は,国内で生活している限り,どの店でも日本製の多様な新機種を目にする。このため,一見すると日本の携帯電話機は他のエレクトロニクス商品のように世界で通じるような錯覚を覚える。しかし,現実には日本の携帯電話機メーカーのシェアは,世界市場の数%でしかない。このことは日本の携帯電話機産業を検討する上で重要な問題といえる。