ブラザー工業は,メガネのフレームに装着できるほど小さくて軽い網膜走査ディスプレイを開発した。大きさは約20cc,重さは約25gである。2005年に開催された「愛知万博(愛・地球博)」で同社が初めて披露した試作品は,重さが70kgもある大掛かりな装置だった。今回は,当時の1/1000以下となる大幅な小型化と軽量化を実現した。同社は,2010年度にも実用化する計画である。

 網膜走査ディスプレイは,微弱な光を網膜に当て,それを高速で走査(スキャン)するもの。網膜上に走査された光の残像を,ユーザーが映像として認識する現象を用いた表示技術である。いわば,網膜を「スクリーン」として利用するプロジェクターといえる。米Microvision Inc.なども開発を進めている。ただし,「フルカラー型を手掛けているのは我々だけ」(ブラザー工業)という。