キャッツ 穴田 啓樹

 前回に引き続き,詳細設計モデルを作る過程を解説する。今回は,最初にシミュレータとマイコン・キットとの動作環境の違いを吸収する仕組みを確認する。次に,前回設計した事象を伝達する仕組みをソース・コードのレベルで動作を確認する。ソース・コードに近づくほど,モデル・ベース開発をより身近に感じるだろう。さらに,優先度の妥当性や,事象の同時/連続発生の際の振る舞いを検討し,最後に品質特性の観点から状態遷移モデルを洗練させていく。

 アーキテクチャ設計では,シミュレーション環境が提供する「event」システム・コールを利用して,機能ユニット間で事象を伝達させていた。詳細設計では,実機で動作するOSが備えるサービス・コールを使う。このとき,モデルが事象の伝達機構の変更に影響されないようにしたい。