特許情報を活用した技術動向調査の手法を紹介する連載の第3回。今回はゲーム産業に焦点を当てる。同じゲーム機メーカーでも,特許の視点から分析すると戦略の違いが見えてくる。マイクロプロセサ「Cell」の登場による業界の変化についても,提言を含めて解説する。(木村 雅秀=本誌)

大嶋 洋一
東京工業大学 精密工学研究所 知的財産利用支援システム研究部門 客員教授

 世界のゲーム産業は,ソフトウエアとハードウエアの総出荷額で1兆6323億円,そのうちハードウエアは9581億円という市場規模である1)。自動車産業のようにトヨタ自動車1社で20兆円強の売り上げがある市場と比較すれば,その規模ははるかに小さい注1)。しかし,ゲーム産業には,何か大きなヒットを生み出してくれそうな期待感がある。しかも,最近は半導体の先端技術を使ったデバイスがゲーム機に搭載されている。