g新部の専門はLinuxカーネルである。このため当初は主にカーネルのソース・コードに不具合の原因を探していた。しかし,カーネルのバグは至る所にあり,いわば「ちらかった部屋」のような状態。あるバグを修正して不具合が出なくなっても,いろいろと試していると不具合が復活したりする。原因究明は思うように進まなかった。

 そんな時,「並行してGNOMEの挙動も追いかけた方がいい」と助言したのが,産業技術総合研究所でg新部と同じ研究グループに所属する田中哲だ。田中はプログラミング言語「Ruby」の中心的な開発者の一人。このため「たいていの場合,問題はユーザー・プログラム側にある」ことを経験から知っていた。