【連載講座】軽く安くする材料・加工技術

表面の滑らかなSMCを
粘土で25%軽く造る

SMCは、自動車の外装用に根強い需要がある。しかし、ハンドレイアップしたFRPに比べて重くなるのが欠点だった。ヤマハ発動機のSMC「ナノエクセル」は従来のSMCより25%軽量化。FRPに並ぶ軽さを実現した。表面の滑らかさはFRPを大幅にしのぐ。

Yamaha Motor Manufacturing Corporation of America
WV開発技術部長
井端 俊彰


 ナノエクセルはもともと自動車向けの素材ではなく、水上オートバイ、米国ではPWC(Personal Water Craft)と呼んでいる商品向けの素材である(図)。水上オートバイはヤマハ発動機の米国法 人である当社〔Yamaha Motor Manufacturing Corporation of America(YMMC) 〕が生産しており、そのために当社が米Interplastic社と共同でナノエクセルを開発した。水上オートバイは、日本ではなじみがないかも知れないが、当社だけで米国では約4万台/年、全世界では約5万台/年という売り上げ規模 がある。当社の工場では、流れ作業のラインで生産しているほどだ。

【連載講座】軽く安くする材料・加工技術
図●水上オートバイの例