1990年代末ころから急速に無線トランシーバの1チップ化が進んだ。これには従来のスーパー・ヘテロダイン方式に代わって,より集積化しやすいトランシーバのアーキテクチャが次々に開発されたことによる。今回は,各アーキテクチャについて特徴と課題を解説する。(野澤 哲生=本誌)

束原 恒夫
会津大学 コンピュータハードウエア学科 コンピュータ論理設計学講座 教授

 前回は,集積化に適したイメージ抑圧型ミキサや新しい動向としてのサンプリング・ミキサの基礎に触れて,RF回路に特有の周波数変換処理について解説した。今回は, CMOS技術を用いて1チップ上へトランシーバ回路を集積するのに適したRFトランシーバのアーキテクチャの特徴や課題を,実装例に基づいて解説する。