【特報】ここまでできる革新的シミュレーションの実力

日本の産官学が協力して,最先端の機能を持ち,かつ実用的な「革新的シミュレーションソフトウェア」を開発,公開した。製造業の技術革新とともに開発・設計における数値シミュレーションの重要性は増すばかりだが,既存ソフトは計算時間や精度,機能の点で必ずしも十分ではなかったためだ。より良い製品を短期間で安価に開発する上で,あるいは従来にない技術を開発する上で,新たなシミュレーション・ソフトが日本の競争力向上に果たす役割は大きい。

 現在国内で活用されている数値シミュレーション・ソフトウエアは欧米製が主流だが,ユーザーにとっては必ずしも十分でない点があった。ここに焦点を当ててソフト開発を進め,日本の競争力向上を狙おう,というプロジェクトがある。東京大学生産技術研究所の計算科学技術連携研究センターが中心になって推進したプロジェクト「革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発」だ。開発したシミュレーション・ソフトを無償で公開しつつ,商用ライセンスの付与も行っている。(以下,「日経ものづくり」2008年3月号に掲載)

図●車体周りの非定常流れ解析の結果
図●車体周りの非定常流れ解析の結果