日経オートモーティブ 解説

交通事故を予防する技術として、“通信”が脚光を浴びてきた。これまでの自動車単体の機能強化では対応できなかった“出会い頭”やコーナーの先の“追突”事故を予防する。まもなく実用化が始まる、次世代ETC車載器や、VICS車載器の安全分野への活用を探った。

「2012年までに年間交通事故死亡者数を5000人以下にする」―。政府が2006年1月に掲げた事故低減目標を達成するために、自動車業界が通信技術で事故を防ぐ取り組みを本格化させている(図)。
 これまでの事故の予防は、車体にカメラやレーダを搭載して障害物を検出するなど、車両単体の機能強化だった。しかし、これらの対応では事故の対策に限界があった。
 実際の事故データを見ると、“出会い頭の事故”や、見通しの悪いカーブの先での“追突事故”など、見えにくい車両とぶつかる事故が多いのだ。
 政府は、死亡事故を減らすのはもちろんのこと、事故件数そのものを減らしたい考えだ。事故件数で多くを占める、出会い頭や追突事故の対策として期待されているのが通信技術だ。

日経オートモーティブ 解説
図●交通事故の推移
政府が掲げた「2012年の年間交通事故死亡者数5000人以下」に向けて、関係省庁が、路車間通信や車車間通信の実用化に向けた取り組みを強化している。(出典:警察庁)