磁気抵抗効果を利用した不揮発性メモリ「MRAM」の研究開発が活況を呈している。2007年11月に米国フロリダ州で開催された磁気記録の国際会議「52nd Annual Conference on Magnetism and Magnetic Materials(MMM)」では微細化に向き,DRAMと同等の集積度を達成するための要素技術が相次いだ。話題をさらったのは,スピン注入と呼ばれる動作方式と,HDDでおなじみの垂直磁化を組み合わせたMRAMだった。自動車や携帯電話機での採用を視野に入れつつある。

 「30nm世代,いや20nm世代までは微細化を進める道筋が見えてきた。『本気でDRAMを代替する』という心構えで,開発に取り組むようになった」(国内大手半導体メーカー)。

 このところ鳴かず飛ばずの状況が続いていた磁気抵抗効果を利用する不揮発性メモリ「MRAM」が息を吹き返し始めた。スピン注入磁化反転方式(以下,スピン注入方式)と呼ぶ新たな動作原理を持ち込んだMRAMの開発を国内外の半導体メーカーが加速させているからだ。