自動車に搭載される機能部品は,次々にエレクトロニクス化が進んでいる。精度良く動く電動部品の特徴を生かせば,機械系だけでは得られない高い性能を比較的容易に実現できる。今回は,運転のしやすさの向上や運転支援といった観点から運動制御システムを解説する。(大久保 聡=本誌)

川邊 武俊
九州大学大学院 システム情報科学研究院 教授

 現在の自動車研究開発の大きな流れには,安全性の向上と,省燃費化など交通手段としての高効率化がある。この流れの中で,これまで機能部品として自動車に搭載されてきた空圧システムや油圧システムが,より軽量でコンパクトな電動システムに急速に置き換わりつつある。内燃機関型のパワートレーンが,効率の高い電動機にその座を譲る可能性も少なくない。