Ethernetを利用して電力を供給する「Power over Ethernet(PoE)」は2003年6月に標準規格「IEEE802.3af」として成立して以来,給電側機器(PSE:power sourcing equipment)ではネットワーク・スイッチで,受電側機器(PD:powered device)ではIP電話機やネットワーク対応の監視カメラでの利用が増えてきた。最近では,同規格で規定されている電力よりも大きな電力を取り扱えるPoE制御ICが増えている。PoE対応機器の高機能化を図るには,従来よりも大きな電力を要するからだ。

 PSEとPDそれぞれに大電力に対応したPoE制御ICを搭載すれば,25~70W程度の給電および受電が可能になる。IEEE802.3afではPSEの一つのポートから出力できる電力は最大15.4W, PDに許された最大消費電力はケーブルでの伝送損失を考慮して12.95Wまでしかなかった。今のところIEEE802.3afを超える電力を供給可能なPoEに対する規格はないが,2008年中に「IEEE802.3at」として正式に規格化される予定である。