日経オートモーティブ 技術レポート

Audi社のカム切り替え機構
弁駆動カムを軸方向にずらす
「A6」に採用、次は「A4」にも

 アウディ ジャパンは、「A6/A6アバ ント2.8 FSI クワトロ」を発表、2007 年8月に発売した(図)。排気量2.8L の新しいV型6気筒エンジンに、吸気 弁のリフト量と開閉タイミングを切り 替える機構「アウディ バルブリフト システム」を採用した。

 同機構単独で燃費を7 %向上した。 さらにガソリン直噴を生かして圧縮比 を12.0と高くし、各部品の摩擦を減ら したことと併せ、同じ排気量の旧エン ジンに比べて燃費を10%向上した。同 機構は続いて11月に全面改良する 「A4」にも採用が決まっている。
 カム軸を軸そのものとカムピースに 分割した。カムピースには部分負荷用、 全負荷用のカムが並び、カムピースを 軸方向に7mm弱移動させて、どちら のカムを使うかを切り替える。
 カム軸はカムピースとかみ合わせる ため、片側のバンク当たり3カ所にス プラインを切った(実際には恐らく転 造した)。カムピースは、外側にカム 山があり、内側にはスプラインを切 る。これを軸のスプラインとかみ合わ せるので、カムピースは軸方向には動 ける一方、軸からの回転力は伝える。

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図●「A62.8FSI ク ワトロ」
最高出力は154kW、最大 トルクは280N・m(3000 ~5000rpm)。