日経ものづくり 詳報

小さく,深く──穴開け加工の最前線
工具や装置,使いこなしが進化

 直径3μmの微小穴,直径の100 倍という深い穴─より小さ く,よりアスペクト比(加工深さ/加工 径=L/D)の高い穴開けを可能とす る技術の開発が進んでいる(図)。ド リルによる切削加工だけでなく,ブラ スト加工やレーザ加工などでも,そう した取り組みが見られる。同技術の 進化の背後には,工具や装置の改良 に加えて,使いこなしの工夫がある。

「L/D=100」を切削で実現
 切削加工の分野で深さを追求した のが,日立ツールの深穴加工用ドリル 「エポックマイクロステップボーラー」だ 。直径50μm~1mmに対 して,L/Dが最大100の深穴を加工で きる〔図、(a)〕。
 従来はL/Dが20~30程度の深穴で も切削で加工するのは難しいとされて いた。L/Dが大きな貫通穴を開ける場 合,例えば放電加工によってワークの 表裏から穴を開けて貫通させるという 方法がある。しかし,表裏の穴の中心 位置のずれから穴の内部に段差がで き,穴の内面も粗くなってしまうので, ワイヤ放電加工による仕上げが必要 になる。このため,加工時間も長くなる。(以下,「日経ものづくり」2007年10月号に掲載


図●より微細な穴や 高アスペクト比の穴を加工した例
(a)はSUS304に加工した直径0.5mm,深さ 50mm(L/Dが100)の穴。上面に見える溝は穴の断 面。(b)は,A5052に5μmピッチで開けた直径3μmの25 個の穴。被削材の厚さは12μm。(c)は,太さ0.5mmのシャープ ペンシルの芯に開けた直径30μmの穴。一部の穴にはワイヤを通し ている。(d)は,A5052に開けた真円度の高い直径10μmの穴。真円度は, 0.5μm以下という。

「日経ものづくり」の年間購読および一冊購入の申し込み
定期購読者限定サービス(無料):記事検索/PDFダウンロード