現在,日本のインクジェット・プリンター・メーカーを取り巻く脅威の一つが,安価な詰め替えインクの台頭である。多くのユーザーが詰め替えインクを利用するようになると,純正インクの販売により利益を確保する,プリンター・メーカーのビジネスモデルが揺るぎかねない。プリンター・メーカーは,純正品を使えば印刷した写真を長期保存できることなどをうたって,詰め替え品との差異化を図っている。今回,各種の品質保証テストなどを手掛けるアリオンが評価したところ,実際に純正品と詰め替え品では,印刷結果の寿命に大きな違いがあることが分かった。ただしプリンターの用途は写真の印刷に限らないため,詰め替え品との違いをさらに明確にするには,他の特徴も打ち出す必要がありそうだ。(今井 拓司=本誌)

大原 稔
アリオン 代表取締役

 我々は,インクジェット・プリンターに使うインクの違いが印刷物の寿命にどのように影響するのかを評価した。プリンター・メーカーが用意する純正インクと,サード・パーティーが販売する詰め替えインクのそれぞれを用いたときの寿命を比べてみた。その結果,純正品を用いた場合の方が寿命は長いことが分かった。