「原因不明の誤動作が起きる。何の痕跡もなく,何が原因か分からない」─こうした誤動作の原因として疑われるのが静電気放電(ESD)である。ESDに対する電子機器の耐性(イミュニティ)試験を行い,基準値を達成しているにもかかわらず生じる誤動作が,特に問題となっている。(宇野 麻由子=本誌)

森 育子
鈴鹿工業高等専門学校 助教
藤原 修
古屋工業大学 大学院工学研究科 教授

 半導体技術の飛躍的な進歩に伴うICの微細化や高速・低電力駆動化によって,市場には高性能・高機能化されたさまざまな電子機器が供給されている。しかし,これらの先端技術を応用した電子機器は,従来と比べて電磁雑音に対する耐性(イミュニティ)が低い。そのため,静電気放電(ESD:electrostatic discharge)によって生ずる過渡的で広帯域な電磁雑音に起因する誤動作が問題となっている。