第1部<危機感>
「日本の宝」に安値競争が迫る
BRICsと水平分業が誘因

 日本のプリンター/複写機/複合機メーカーは過去,世界市場で抜群の成果を上げてきた。一般オフィス用複写機の普及にはリコーが大きく貢献した。キヤノンはレーザを用いた印刷方式を開発,自社製品だけでなく中核部品をHP社に供給してきた。最近のプリンターと複写機の複合機化も,日本勢が牽引した。日本の民生機器メーカーがうらやむ営業利益率を実現できたのは,技術力で先行して市場を開拓したためだ。


第2部<技術>
破壊的技術の萌芽
ライン型インクジェットが離陸へ

 現在では数少なくなった,日本メーカーが世界を大きくリードする産業。その一つが,プリンター/複写機/複合機である。高収益を誇るこの産業が,今「破壊的」な新技術の挑戦にさらされようとしている。現在主流のレーザ方式を脅かすライン型インクジェット・プリンターや,レーザ方式の簡略化につながるMEMSスキャナーである。いずれの挑戦も始まったばかりだが,業界の勢力図を塗り替える可能性を秘めている。