製品事故が発生した場合,事故原因の究明は,リコールなどの対策を判断する上で極めて重要な作業となる。一口に事故品といっても,原型をとどめないような焼損品から電子部品1個の故障品まで,その形態は千差万別である。連載第2回は,事故原因究明の手順や解析方法について解説する。(浅川 直輝=本誌)

井原 惇行
楠本化成 エタック事業部 顧問

 事故を起こした機器を解析して事故原因を特定する作業には,数多くの困難を伴う。

 例えば,火災現場から掘り出した原型をとどめない残骸から,事故原因を解析しなければならないケースもある。焼損が一部の部品にとどまっていても,その電子部品を内部まで解析して発火原因を特定するのは困難を極める。解析の対象は1台または部品1個である場合がほとんどであり,失敗は許されない。