「ガラス・インプリントでは実現が困難と思われてきた光の波長より短い1μm以下の周期構造をアスペクト比1以上で加工できた。他の研究グループの取り組みも本格化するだろう」と話すのは,松下電器産業やコニカミノルタオプトと共同でガラス・インプリント技術を研究する,産業技術総合研究所(産総研) 光技術研究部門光波制御デバイスグループ グループリーダーの西井準治氏である。

 ガラス・インプリントは,加熱したガラス材に型の微細構造を転写して成形する加工法である。凹凸で縞模様あるいはドット状の周期構造を作り,その周期や凹部の深さを制御することで,さまざまな光学的な特性を設計する。この研究開発が実用化に向けて加速している。

 既に周期が10数μmの構造であれば事業化されていたが,生産量を少量に限って,周期が1μm以下の微細構造をガラス上に加工するサービスをインプリントで始めた企業が登場した。研究開発段階では,ガラス・インプリントで波長板や反射防止機能を付加したガラス光学素子を試作したグループも続々出てきた。

 明らかになっているだけでもさまざまなメーカーや研究機関などが,この技術に取り組んでいる。「水面下で取り組むメーカーはもっと多い」と,同技術に関わる研究者は口をそろえる。