米国のESC(横滑り防止装置)搭載義務化

2008年9月から段階的に導入
交通事故死者は1万人減と試算

米国で、ESC(横滑り防止装置)の搭載が義務化される。2008年9月から段階的 に始まり、2011年9月以降はすべての車両がESCを搭載することになる。NHTSH (米高速道路交通安全局)は年間約1万人の死者軽減につながると試算する。


 米高速道路交通安全局(NHTSA)は、 2011年9月からESC(横滑り防止装置) の搭載を義務化する「FMVSS 126」を 定めた。ESCの搭載で、走行中の車両 安定性を高める。車両が不安定になる ことで発生する横転事故被害などの軽 減が期待できる。
 FMVSS 126 によると、米国で発売 する2009 年モデルから段階的にESC の標準搭載を開始して、2011 年9 月以 降はすべての車両に搭載を義務付け る。重量が1万ポンド(4500kg)以下の 車両が対象だ。
 一時期に搭載を義務化するのはESC の生産面や、車両の改良のタイミング で難しいことから、NHTSA は自動車 メーカーごとに2008 年9 月から3 年間 かけて段階的に義務化する(表)。
 まず、2008 年9 月~2009 年8 月末ま でに生産する車両は55 %搭載する。 2009年9月~2010年8月末に生産する 車両は75 %、2010年9月~2011年8月 末までに生産する車両は95%と段階的 に増やす。2011年9月以降に生産する 車両はすべて搭載する。
 NHTSA は、ESC 義務化で、乗用車 の単独事故件数は34%、SUV(スポー ツ・ユーティリティ・ビークル)の単 独事故件数は59 %軽減できると予測 する。この結果、死亡者を最大9600 人減らせるほか、負傷者を最大23 万 8000人軽減できるとみている。

国内事故件数は36%減
 国内でもESC の効果を示す調査結 果がある。NASVA(自動車事故対策 機構)の調べでは、ESC の搭載車は ESC 非搭載車と比べて事故件数が36 %少ないという。
 ESCは、モジュレータと呼ばれる装 置本体にモータを備えている。モジュ レータのモータを作動させることで、 ドライバーに代わって各輪用の油圧ブ レーキ圧を適切に発生させる。車両が 横滑りしたときなど、車両の挙動が不 安定になると、各輪の制動力を調整す ることで車両を安定化する。

日経オートモーティブ
表●ESC搭載のスケジュール
(a)ESCのモジュレータ。(b)搭載のスケジュール。2008 年9月か ら段階的に導入が始まり、2011年9月以降は全車標準搭載となる。