日経ものづくり 速報

遠赤外線カメラの用途が拡大へ
普及のカギは自動車にあり

日経ものづくり 速報  これまで用途が限られていた遠赤外線カメラを,より広い分野で活用しようとする機運が強まっている。可視光線/近赤外線画像にはない遠赤外線画像の特徴が,セキュリティーや交通安全,FAといった分野で生きてくるからだ。

「鶏と卵」からの脱却

 遠赤外線カメラが普及していく上で最大のネックとなるのは,その価格。1台で100万円以上というものが少なくない。「価格が高いから普及しない」「数が出ないから価格が下がらない」という典型的な「鶏と卵のジレンマ」だった。現在の主な民生用途は,研究開発や品質管理,医療などの現場で使われているサーモグラフィがほとんど。だが,ここ最近になって,供給者側にこうした状況を打破しようとする動きが見られる。

 NECは,非冷却型の遠赤外線カメラ用モジュール「HX0830M1」の販売を2007年4月に開始した(図)。エリアセンサと映像処理回路を組み合わせたもので,レンズは付いていないものの,出力端子や操作ボタンといったインタフェース部などを接続するだけで簡単にアプリケーションを実現できることが特徴だ。(以下,「日経ものづくり」2007年7月号に掲載