加入者9500万人の市場に,10社以上の携帯電話機の端末メーカーがひしめきあい,高機能な端末が飛ぶように売れる…。特異なビジネス環境に世界でも例のない独特の生態系をはぐくんだことから,「世界の孤島」ともやゆされる日本の携帯電話市場。その島に今,大きな環境変動が起きている。総務省のモバイルビジネス研究会の議論がきっかけとなり,市場環境を根幹で支えていた販売奨励金の制度を見直す機運が高まっているからだ。環境が変われば島の生態系にも大きな影響が出るだろう。

 「持ちこたえられない端末メーカーも出てくるだろう。いよいよケータイ・バブル崩壊の危機が近づいてきた」(ある端末メーカーの経営企画担当者)。

 約9500万人の加入者を抱える日本の携帯電話市場が今,大きな岐路に差し掛かっている。現在,年間約5000万台の端末販売が,近い将来に約2/3の3000万台程度まで縮小する可能性が,現実味を帯びてきたのだ。