日経ものづくり 鉄人

虹を織る

 「異業種交流会」という場がある。中小企業庁が1981年に創設した「技術交流プラザ事業」に端を発するもので,地域の中小企業の経営者が集まって皆で何かを作ろうとするところだ。その志は大いに結構なのだが,いかんせん結果,すなわちヒット商品が出にくいのが実情である。

 なぜか。同交流会に参加する企業は,どうしても自社の生産技術や商品の延長線上で開発を進めたくなる。それが人情というものだ。しかしその一方で,自分たちのシーズを優先させるあまり,顧客のニーズが明確でないままにものづくりを進めてしまう。開発の過程では,自分たちの得意分野の技術やノウハウを持ち寄って大いに盛り上がるものの,いざ売ろうとすると,肝心のニーズが見えていないためにさっぱり売れないのだ。いつも言っていることだが,真の開発とはニーズがはっきり見えてから始めるものである。

日経ものづくり 鉄人
図●虹を作った「ものづくりネット板橋」の皆さん
目がイキイキしていたのが印象的だった。後列右端が私。