日経ものづくり メカトロ講座

第3回:開発仕様と実現方式
文●茶運び人形実行委員会

「半東」の動作を手掛かりに検討
実現の容易さにも配慮

 前回は,茶運び人形の手本となる半東の動きを観察し,必要な動作や作法を取材した。今回は,それを基に茶運び人形の開発仕様を作成し,それを実現する方式について検討する。開発設計手順でいえば,要求仕様の確認と設計論におけるシステム設計の方針決定に相当する作業である(表)。

 本論に入る前に,メカトロ機器の全体構成について簡単に触れておこう。

柔軟性向上で副次的効果も

 メカトロ機器とは,大まかには動作を実現するためのメカニズムに,頭脳となるマイコンや感覚となるセンサといったエレクトロニクスを加えたものである。メカニズムにエレクトロニクスを組み合わせることで,判断や演算,通信といった新しい機能を付与したり,機器の柔軟性を高めたりすることが可能だ。柔軟性が増せば,設計の自由度が高まり,コスト削減などの副次的な効果も得られる。

日経ものづくり メカトロ講座
表●開発設計の手順と各過程での検討項目
今回はエンジニアリング過程での「要求仕様の確認」と設計論での「システム設計」における方式検討を取り上げる。