日経ものづくり 鉄人

ミクロの大爆発

 ミクロの決死圏」という映画があった。潜航艇に乗り込んだ医療チームが縮小光線で丸ごと小さくなって人体に入り込み,病気を治す。1966年に制作されたこのSF映画を思い出したのは,ある所でマイクロリアクタに出合ったためだ。サイズが小さければ小さいほど,そこで起こる反応は爆発的ですごいことになると思ったからだった。

 マイクロリアクタの特徴はズバリ,流路の径が極めて小さいこと(図)。分子拡散による混合などに利用すれば,径が小さいほど拡散距離が短くなるから,拡散距離の2乗に比例する混合の時間は相当短縮される。

 さらに上記の特徴は,単位体積(容積)当たりの表面積を大きくする。だから反応容器として使用すれば,表面積が相対的に大きくなって温度制御などの効率が高まるし,多相系では容積当たりの界面面積が大きくなって気―液,液―液,気―固,固―液といった反応が効果的に進む。

日経ものづくり 鉄人 図●マイクロリアクタの部品