日経ものづくり メカトロ講座

第2回:要求仕様の定量化
茶運び人形実行委員会

工学的な見地から内容を確認
判断基準や限度見本も用意

日経ものづくり メカトロ講座  前回は,企画立案の重要さについて述べた。今回は,その過程で不可欠となる要求仕様の定量化を取り上げる。これは,工学的な見地から要求仕様の内容を確認し,要求仕様を設計できるように数値に置き換えていく作業である。

 この段階であいまいさを残すと,メーカー側では,検収時に測定データに基づく客観的な判断ができなくなる。それにより,ユーザーとの調整協議に多くの時間を要することとなる。一方,ユーザー側に視点を移せば,購入した装置が当初意図した機能・性能を発揮しないということになる。使いにくく,導入効果が得られないとか,所望の性能が出ないという問題を引き起こすのである。

 また,忘れてならないのは,機能・性能といった装置本来の目的だけでなく,遵法,安全・環境といった側面からもこの段階で十分に検討しておくことである。

評価方法や判断基準を明確に

 表1に製品の開発設計の手順と各過程での概略検討項目を示した。第1過程であるエンジニアリング過程では,顧客の要求内容を確認し定量化を図る。

 この過程で大切なのは,顧客の要求仕様が設計仕様に的確に反映されるように,打ち合わせなどを通じて顧客の要求を確認し,それに基づき設計仕様を作ることである。加えて,開発を通じて製作した装置が発注仕様と整合しているかどうかをいかに評価し,可否の判断基準をどのように設定しておくかを,受発注者双方が納得の上で決めておくことも重要となる。