Claudia Fan Munce氏
米IBM Corp.,
IBM Venture Capital Group, Managing Director兼Vice President, Corporate Strategy

90年代の危機から鮮やかに復活した米IBM Corp.。その極意は技術の自前主義との決別にあった。現在の同社は,強力な研究開発部門を持ちながら,新興企業が開発した技術をためらわずに取り込む企業に変貌している。自社と外部の技術を柔軟に使い分ける判断手法や有望な新技術の発掘手法は,日本企業にも学ぶべき部分がある。新しい技術を持つベンチャー企業を発掘する役割を担う同社のベンチャー投資部門Venture Capital Groupは,新興企業の発掘でも他社とは一味違う戦略を取っている。

――あなたが率いるVenture Capital Groupの活動目的を教えてください。

 2000年に発足した我々の部門を設立したのは,当時のCEOであったLouis Gerstner氏です。Gerstner氏の指揮の下,IBM社は1999年後半に大きな方針転換をして,ITを使ったインテグレーションのビジネスに注力することしました。この結果,技術の自前開発へのこだわりを捨てたのです。