内海 善雄氏
元・国際電気通信連合(ITU)事務総局長
現・トヨタIT開発センター最高顧問

――世界の情報通信の総本山である国際電気通信連合(ITU)で,1999年から8年間,事務総局長を務め,今年帰国しました。その内海さんからは,ITUにおける日本の活動はどのように見えますか。

 正直に言うと,「デーン」と急降下ですね。ITUで日本人はほとんど見なくなりました。

 私は約30年前,そして20年前にも,ITUが本部を構えるスイスのジュネーブで勤務していました。30年前は,NTT(当時は日本電信電話公社)やKDDI(同,国際電信電話)などがそれぞれ事務所を構えており,3~4人の職員を常駐させていたほか,会議があるごとに代表団を送り,活発に活動していました。ところが今では,事務所のほとんどは閉鎖されてしまった。標準化活動への参加をストップしたということです。