日経オートモーティブ この会社・この技術

エイベックス
国内生産にこだわり
スプールバルブで
世界シェア7%握る

自動変速機(AT)向けスプールバルブを日産25万個生産するのが、エイベックスだ。6軸自動盤を19台そろえ、1個当たりの加工時間は7秒程度でしかない。鋼材やアルミニウム合金で作るこのバルブは、μm台の加工精度が要求されながら、コスト面での要求も厳しい。自動盤を自社でオーバーホールするほどの技術力がここまでの量産技術を可能にした。

 油圧による動力伝達装置というATの役割を考えるとき、なくてはならない部品が「スプールバルブ」だ。いくつもの溝を切った棒を油圧で動かすことで、ATF(Automatic Transmission Fluid)の流れを制御し、油圧クラッチやブレーキを開閉して変速する(図)。
 変速段1段につき最低でも1本のスプールバルブを要するが、特にシフトダウンを滑らかにするためには、スプールバルブの本数を増やして、油圧の変化を細やかに制御する必要がある。4速、5速、6速と多段化する流れからも、スプールバルブの本数は増えていき、現在では15~20本程度のバルブを使うという。

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図●ATのバルブボディとスプールバルブ
アルミダイカスト品のバルブボディに組み込まれる段付き形状を持つスプールバルブを日産25万個量産する。