日経オートモーティブ Inside Story



「測れぬ違和感」を消せ

4輪アクティブステアの開発
日産自動車が新型スカイラインに搭載した4輪アクティブステア(4WAS)。ステアリング操作に対する前輪と後輪の切れ角を車速に応じて変化させる世界初のこの装備の開発で、日産は「測定できない違和感」をいかに解消するかで苦しんだ。

 日産自動車が2006年11月に発売した12代目のV36 型「スカイライン」の目玉装備の一つが、ステアリング操作に対する前輪と後輪の切れ角を車速に応じて変化させる「4輪アクティブステア(4WAS)」である。
 この技術には先駆けがある。7代目「スカイライン」に搭載した後輪操舵システム「HICAS(High Capacity Actively-controlled Suspension)」がそれだ。このシステムが1985年に実用化されて以後、次々に国内自動車メーカーが独自の後輪操舵技術を実用化し、ちょっとした「4WS開発ブーム」の様相を呈した。
 たが、それらのシステムは次第に姿を消し、当時から20年を経た今日まで継続して採用されているのは日産のHICAS(現行の「フーガ」では、リアアクティブステアと呼ばれる)だけである。このことは、HICASの技術としての素性の良さを示しているのかもしれない。

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図●2006年11月に発売された新型「スカイライン」
「4輪アクティブステア(4WAS)」を世界で初めて搭載した。