カナダのベンチャー企業であるD-Wave Systems,Inc.は2007年2月13日に「16個のqubits(量子ビット)を備えた,商用になり得る量子コンピュータを開発した」と発表しデモンストレーションを公開した。米国では主要テレビ局をはじめ,ラジオの地方局さえも今回の開発について一斉に報道したことで,量子コンピュータへの注目がにわかに高まった。

 D-Wave社はカナダUniversity of British Columbiaの大学発ベンチャーとして1999年に創立された企業。創立者には量子系物理学の研究で著名なA. M. Zagoskin氏なども名を連ねており,最近まで在籍していた。NTT物性科学基礎研究所の所長として量子コンピュータを研究し,現在は東京理科大学 大学院理学研究科 教授の高柳英明氏は「量子コンピュータを数年で開発するという目標を掲げていたので以前から注目していた」という。