日経ものづくり 材料力学マンダラ

最終回
緊急提言「締め付けは慎重に」

広島大学大学院教授 沢 俊行


●安易な締め付けでボルトにかかわる事故が多発している
●締め付けを厄介にする元凶は,摩擦によるバラつき
●弱く締めればボルトが,強く締めればハブが壊れる恐れあり


 「材料力学マンダラ」は,今号が最終回となります。当初の予定では最後のテーマは平板でしたが,原稿をほぼ書き終えたころに,本誌編集部から連絡をもらいました。「今号の特報のテーマがボルトの切損事故に決まったので,ボルトの締め付けのことを書いてほしい」と。急きょテーマ変更です。かくて,2年余りにわたる連載最後の「締め」は「フランジのボルトの締め(付け)」と決まったのです。
 具体的には,多数のボルト・ナットでガスケットを入れたフランジを締め付けるケースを考えます(図)。その場合,読者の皆さんはどのような順序で締め付けますでしょうか。締め付けの力学は取りあえず置いといて,まず締め付け順序から考えます。

日経ものづくり
図●フランジの締め付け
ガスケット入りのフランジを多数のボルト・ナットで締め付ける。