日経ものづくり アイデアコーナー

汚れにくい洗い場の排水口 【INAX,トステム】

残り湯で排水トラップ内に渦流を発生

 洗い場の排水口は,浴室の掃除で最も面倒な部位だ。排水トラップに設置した網目状のヘアキャッチャーに毛髪が絡み付き,水の流れが悪くなる。さらに,皮脂などを含んだ水が滞留するためにヌメリが増殖してしまう。ヘアキャッチャーに絡み付いた毛髪などは捨てるのにも苦労する。
 そこで,INAX(本社愛知県常滑市)とトステム(本社東京)は共同で,汚れが付きにくく掃除が簡単な排水口「くるりんポイ排水口」を開発。2007年4月からシステムバスルームの新製品に搭載して発売する。浴槽の残り湯を排水する際の流れを利用して,ヘアキャッチャーの汚れをすすぎ流す。同時に,ヘアキャッチャーにたまった毛髪をまとめて捨てやすくする(図)。洗い場から流れ込む水でなく,比較的きれいで十分な水量がある浴槽の排水を活用するのがポイントだ。
 くるりんポイ排水溝の排水トラップは,渦を発生させる円筒形の1次室と異臭止めの水を確保する2次室に分かれる。浴槽からの水はまず,1次室の流入口に導かれる。

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図●汚れにくく掃除しやすい洗い場の排水口「くるりんポイ排水口」
浴槽からの排水を利用して,排水トラップのヘアキャッチャーをすすぎ洗いし,毛髪やゴミをひとまとめにして捨てやすくする。


スプレー缶用キャップ 【後藤金型興業所】

多様なサイズの缶に対応

 「GT-CAP」は,残存ガスを簡単に排出できる「中身(残ガス)排出機構」を持たせたスプレー缶(エアゾール缶)用のキャップ(図)。廃棄するスプレー缶の噴霧ヘッドを外し,キャップを下に置いて缶を逆さまにしてキャップ天井側のくぼみに押し込むと,バルブ部分がくぼみにはまって固定される。このときノズル(ステム)が押し込まれて,残ったガスが排出される。
 スプレー缶にガスが残っていると,廃棄物の回収時や処理場などで爆発・炎上する場合がある。そうした事故を防ぐため,市区町村などの自治体は,残ったガスを出し切ってから捨てることを推奨している。
 以前は缶に穴を開けて残ガスを抜くよう求めていたが,危険が伴うため,近年は使い切ってから捨てる方向に変わってきた。しかし,噴射ノズルを押さえ続けてガスを出し切るのは手間がかかり,十分に排出し切れない場合もある。
 そこで,スプレー缶の製造業者の団体である日本エアゾール協会は,自治体や関係省庁と協議の上,2007年4月から一部製品を除くスプレー缶に中身排出機構を装着するよう取り決めた。GT-CAPはこうした取り組みに対応して開発したものだ。

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図●GT-CAPを付けたスプレー缶
スプレー缶のキャップに装備されて販売される。