日経ものづくり 詳報

松下電器産業,世界最薄のデジタルカメラ
内製した5枚の非球面レンズで実現

ズーム時のレンズの移動量を小さくして鏡筒を短く

 松下電器産業は,薄さを極めたコンパクト・デジタル・カメラ「LUMIX」シリーズ「DMC-FX30」を開発した(図)。広角端が28mmのズームレンズを搭載したタイプとして,厚さが22.0mmと「世界で最も薄い」(同社)。携帯しやすくすることで,特に若い女性の需要を喚起する。
 薄型化のポイントはレンズユニットにある。6群7枚構成のレンズのうち,5枚に非球面レンズを採用した。従来の4枚から1枚増やしている。「通常,非球面レンズの枚数は2~4枚程度。例えば,キヤノンが2~3枚で,カシオ計算機で3~4枚」(松下電器産業)。
 非球面レンズを増やすと薄くできるのは,まず,収差が小さいため。個々のレンズの収差が小さいと,ユニットに搭載するレンズの枚数を減らせる。これに対し,球面レンズでは収差が大きいため,より多くの枚数を組み合わせる必要があった。
 加えて,非球面レンズは薄く造れる。金型に高温で軟らかくしたガラス素材を入れてプレス成形する方法だから,レンズ周辺の厚さに関して加工上の制約が緩く,薄くしても支障はない。そのため,レンズ1枚当たりの厚さを出来る限り詰められる。これに対し,球面レンズはガラス素材を研磨して造る。

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図●薄さ22.0mmのコンパクト・デジタル・カメラ
「LUMIX」シリーズ「DMC-FX30」

売れ筋の「コンパクト・スリム」タイプで薄さを追求して女性の顧客を狙う。実売想定価格は4万円前後。