栗田 太郎
フェリカネットワークス 開発部 2課 統括課長

「開発の意図が相手に伝わらない」「仕様書には確かに書いてあるのだが,誤解されたようだ」――。ソフトウエア開発に限らず,多人数による開発では,コミュニケーションの問題が付き物だ。どうすれば的確にシステムの「仕様」を他のエンジニアに伝えられるのか。その道具の一つがフォーマル・メソッド(formal methods)の一種,「形式仕様記述手法」である。国内では実践例が皆無に近かった同手法を,フェリカネットワークスは「おサイフケータイ」などとして知られる「モバイルFeliCa ICチップ」のファームウエア開発に適用。上流工程で品質を高めることで,手戻りの少ないソフトウエア開発を実現した。定量的な品質データ,開発者へのアンケート調査結果などを交えながら,先駆的な事例で得られた経験を同社の中核エンジニアが語る(NEブログ関連記事)。 (進藤 智則=本誌)