日経ものづくり 詳報

クルマの燃費を現行規制比3割向上
2015年度目標に新規制が固まる

世界トップレベルの規制値を自動車メーカーは達成できるか

 2006年12月,乗用車の新しい燃費規制を巡って,「23.5%の改善を義務付け」「3割改善義務付け」など燃費改善率が異なる報道があった。どちらが正しいのだろうか。
 新燃費規制は「2015年度燃費基準」と呼ばれるもので,2006年12月15日の経済産業省と国土交通省が共催した合同会議で承認されたため,多くのメディアが一斉に報道したものだ。
 実際の2015年度燃費基準は,車両重量によって16に分けた区分ごとに設定されている。例えば,ホンダの 「フィット」は1000kg強なので「区分5(971~1080kg)」に分類され,燃費基準は20.5km/L(JC08モード,以下同)になる。自動車メーカーはすべての区分で燃費基準を満たさなければならない。
 区分ごとの燃費基準を基に販売台数に応じて加重平均すると,全体の燃費基準を計算できる。この値が 16.8km/L。合同会議が基本データにした2004年度実績の13.6km/Lを基準にして,この16.8km/Lの改善率を計算すると23.5%になる。一方,比較する対象を2 0 1 0 年度燃費基準の13.0km/Lにすると,改善率も変わって29.2%になる。これだと約3割の向上が必要になる。つまり比較対象を2004年度実績にするか,現行の2010年燃費基準するかによって,二つの数字が出てきたのである。

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図●低燃費エンジンを搭載した日産の「ウイングロード」