LSIの動作周波数の向上や機器の多機能化に起因して,EMI対策の重要性が高まっている。その対応策として,スペクトラム拡散クロック・ジェネレータ(SSCG)の利用分野が広がっている。1990年代からプリンターやパソコンで利用が始まったSSCGは現在,デジタル民生機器で使われるようになった。今後は携帯機器での採用も見込まれる。市場の拡大に応じて参入メーカーも増え,部品の選択肢が増えている。もっともSSCGは,EMI対策として万能ではない。既存の対策手法と併用して活用していくことになる。どういった場面で有効で,どれほどの効果が期待できるかを見極めることが不可欠だ。そこで今回は,SSCGの動作原理やカタログ値の読み方の注意点などについて解説する。 (堀切 近史)