「『iPod』の製造を担うFoxconnグループの従業員が,低賃金で過酷な労働を強いられている」――。2006年夏ころ,欧米ではこんな報道が駆け巡った。Foxconn(台湾Hon Hai Precision Industry Co.,Ltd.)グループは世界最大のEMS企業であり,米Apple Computer, Inc.のほかにも,米Dell,Inc.やソニーといった世界の大手民生機器メーカーを顧客に抱えている。

 こうしたEMS企業の活用により圧倒的な量産体制を構築したり,海外工場による生産によってコストを抑えたりするモノづくりが主流になりつつある今,「CSR調達」という考え方が世界の大手機器メーカーの間で急浮上してきた。CSR調達は,サプライヤーやEMS企業の遵法や人権,労働などに対する方針や取り組みを調達の条件として考慮する仕組みである。