第1部<現状認識>
「お付き合い」から戦略利用へ
今こそ意識を変えるとき

 「税金の無駄遣い」「失敗のない出来レース」「技術の墓場」…エレクトロニクス分野の国家プロジェクトに対する不信は根強い。しかし国内のエレクトロニクス・メーカーが置かれた状況を鑑みると戦略的に活用する武器として,国プロの潜在的な価値は高まっている。折しも競争力強化の掛け声の下,政府は国プロの強化に乗り出している。技術者や企業自身が真摯に向き合い,旧来の意識を改革すれば国プロを有効活用できるはずだ。

第2部<推進戦略>
技術者こそ主役たれ
過去に学ぶ現状打破への糸口

 ぱっとしない成果とそれに基づく不信感が国プロの再生を阻んでいる。今こそ,現場の技術者の手で悪循環を断ち切るときである。成功した過去の国家プロジェクトの背景には,参画した技術者,リーダー,経営者のたゆまぬ努力があった。国,企業,技術者の誰もが利益を得る「成功する国プロ」の作り方を,過去から現在に至る国家プロジェクトの事例から学ぶ。キーワードは「研究テーマ」「プロジェクト・リーダー」「出口戦略」である。

<意識調査>
読者が語る「国プロ」の真実

 日本の国家プロジェクトの実態を探るべく,本誌が運営するニュース配信サービスの読者を対象に2006年12月にアンケート調査を実施した。回答者の総数は388人。寄せられた膨大なコメントから浮き彫りになったのは,日本の国家プロジェクトの問題点を厳しく指摘しつつも,「国プロには希望を持っていたい」という,技術者の祈りにも似た思いだった。