日経ものづくり 詳報

帝人,環境へのやさしさ目指し新技術
素材と加工方法の両面から追求

樹脂枠/窓一体のパノラマルーフや耐熱性高めたポリ乳酸など展示

 樹脂製の枠と窓を一体化した大型のパノラマルーフ,適用部位への制約を低くする耐熱性を高めたポリ乳酸(PLA),タイヤの転がり抵抗を20%低減できるゴム改質材料―。2006年11月30日開催の「帝人技術フォーラム」で,帝人グループは環境へのやさしさを追求した新しい素材や加工方法に関する技術を披露した。

成形機の工夫で均一性確保
 樹脂製の枠と窓を一体化したパノラマルーフは,面積が1.7m2と大型のもの(図)。合わせガラスと鋼板を組み合わせて造った従来品と比較すると,質量で約30%軽い。大面積のものを均一に成形することが一つの課題だったが,帝人グループは,そのための成形機を名機製作所と共同で開発することでそれを可能とした。
 共同開発した成形機は,窓の素材となる透明なPC(ポリカーボネート)と枠の素材となる黒色のPC/PET(ポリエチレン・テレフタレート)系アロイといった異なる2種類の樹脂を一体品として射出プレス成形する装置。面積で2m2までの部品の成形が可能な大型の装置で,型締め力も33.3MN{3400tf}と大きい。
 使用する金型は2色成形用のもの。具体的には,窓用のキャビティ側の金型と窓枠一体用のそれの間に回転式のコア側金型(中子)を挟んだ構造のものを使う。窓部の成形後に中子を回転させ,中子に取り付けたままの窓部に追加する形で枠の部分を2次成形できる仕組みになっている。
 射出プレス成形とは,金型をある程度開いた状態で樹脂を射出し,それからプレスによって樹脂を型内に行き渡らせる方式。通常の射出成形と比べて,金型内での樹脂の圧力分布を均一に保ちやすいという特徴を持つ。もっとも,帝人グループによれば,パノラマルーフのように大面積のものを均一に成形するにはそれだけでは不十分だった。

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図●帝人グループが名機製作所と共同で試作した樹脂製枠/窓一体型のパノラマルーフ