日経オートモーティブ 連載

事例に見るPLM活用・第5回

開発期間短縮を支える
バーチャル開発

日産自動車は、パワートレーンの台上評価や実車評価を置き換えるバーチャルテスティングや、リバースエンジニアリングを用いたデジタルベンチマーキングを活用することで、製品の競争力や開発効率を高めている。これらバーチャル開発を活用した開発期間短縮の考え方を紹介する。

日産自動車
パワートレイン開発本部 パワートレイン性能開発部
音振技術開発主管 平野 芳則


 自動車メーカーの競争力を強化するためには、商品力を向上させるとともに、市場ニーズや環境変化を的確に捉えてタイムリーに製品を提供することが必要となる。このために従来以上に開発期間の短縮が求められており、台上評価や実車評価をバーチャルに置き換える技術の重要性が高まっている。
開発プロセスは一般的に調査、準備段階を経て、パワートレーンのユニット開発を含むプラットフォームの開発に続く。その後、ボディを中心とする車両開発と重なりながら進み、最後に生産準備を経て量産開始に至る。
 この流れの中で、以前は試作品を作ってはそれを評価するという手順を繰り返していた。開発期間短縮を実現する上では、この試作・評価をバーチャルに置き換えることがかぎになる。また、試作をなくせないとしても、解析精度を高めて1回の試作だけで済ませることで、繰り返し試作・評価する場合に比べて費用と時間を削減できる。