撮影した画像のブレを抑える「手ブレ補正技術」が,さまざまなカメラに浸透し始めている。普及価格帯のビデオ・カメラや一眼レフ・カメラ,デジタル・カメラのコンパクト機などその応用範囲は広く,もはやカメラの基本機能として認知されるようになった。その実現機構としてはこれまで,多様な手法が提案されてきた。現在はこのうち幾つかの方式が製品に利用されている。本稿では手ブレ補正技術の開発に長年取り組んできたキヤノンの技術者に,手ブレ補正技術の全体像と歴史を説明してもらう。各方式の中でも,小型・軽量にできるとして最近では「レンズ・シフト方式」を採用している事例が多い。そこで後半ではレンズ・シフト方式と他方式を比較するとともに,レンズ・シフト方式が現時点で主流となっている背景などについても解説してもらう。(堀切 近史=本誌)

鷲巣 晃一
キヤノン
イメージコミュニケーション事業本部 イメージコミュニケーション統括開発センター