2006年10月17日,CDプレーヤーなど光ディスクの情報読み取り技術を発明した日立製作所の元社員が,同社を相手に職務発明の対価を求めた,いわゆる「光ディスク訴訟」が幕を閉じた。最高裁判所は東京高等裁判所の2審判決を支持し,日立による上告を棄却した。元社員の米澤成二氏に対しては,日立の特許収入を11億7900万円と算出し,その14%(発明者の貢献度20%。米澤氏と共同研究者の二人による研究で,米澤氏の貢献度はうち70%)に相当する1億6500万円を発明対価として認定した。

 光ディスク訴訟は,企業,そして企業で研究開発を行う技術者の双方にとって,大きな意味を持つ。第1に,外国特許が特許法第35条3項で定める「相当の対価」の対象とされたこと。東京地方裁判所の1審判決では「外国特許は適用されない」と判断されたが,2審では「職務発明で取得した特許の譲渡によって発明者に生じる財産権は,日本国特許を出願する権利のほか外国の特許を出願する権利を含む」として,1審判決を誤りとした。