ここ数年,テレビ向けパネルの分野で活発だった大画面化競争がひと段落した今,一転して携帯機器に向けた小型パネルの薄型化競争が激しさを増し始めた。2006年10月18~20日に開催された「FPD International 2006」では,こうしたトレンドが浮き彫りになった。

 液晶パネル・メーカー各社は,0.1mm単位の厚みの違いをめぐる攻防を繰り広げた。2006年10月初めに開催された「CEATEC JAPAN 2006」では,東芝松下ディスプレイテクノロジー(TMD)が,厚み1mmを切る,0.99mmの液晶パネルを出展した。これに対抗する格好で今回,シャープは厚み0.89mmの液晶パネルを開発したのである。「CEATECにおけるTMDの展示を受けて,シャープ社内で『あれより薄いものを作れ』という号令が出たと聞いている」(ある液晶パネル・メーカーの担当者)。

 こうしたパネル・メーカーの競争の背景には,携帯電話の通信事業者間での熾烈な差異化競争がある。2006年10月24日に始まった携帯電話番号ポータビリティ(MNP)を受けて,端末の差異化の一つとして「超薄型ケータイ」の開発が進むとみられている。このため,現行では2mm前後あったパネルの厚みを,一気に半分程度にまで薄くしようとしているのだ。