「半年足らずで15万台を販売できた」――。2006年6月6日に開かれた「W-ZERO3」の新機種発表会で,壇上のウィルコム 常務執行役員の土橋匡は誇らしげに発表した。驚く記者たちを見ながら,同社 営業開発部 企画マーケティンググループ 課長補佐の須永康弘は痛快な気分だった。須永は企画段階からこの製品を担当するウィルコム側の中心人物の一人である。

 W-ZERO3はウィルコムがシャープ,米Microsoft Corp.と共同で開発した携帯型情報機器(PDA)である。ウィルコムとネットインデックスが開発した「W-SIM(ウィルコム・シム)」と呼ぶPHS通信モジュールを使って,音声電話とデータ通信の機能を提供する。いわゆる「スマートフォン」と呼ばれるジャンルに入る製品である。