日経ものづくり 詳報

三菱自動車,電気自動車「i MiEV」開発
電力会社との共同研究を実施へ

車体構造をほとんど変えずに済む軽自動車「i」をベースに

 三菱自動車は,電気自動車(EV)「i MiEV」を開発した(図)。複数の電力会社と共同研究を行うためのもので,2006年度は電力3社と先行共同研究を,2007年度は電力5社とフリートモニター試験を実施する。
 先行共同研究では,各電力会社に研究用の同車両を1台ずつ提供し,電力会社における業務車両としての適合性や急速充電設備との整合性を確認する。フリートモニター試験では,電力5社に対して合計数十台の同車両を提供。実際の運転環境下での走行状態(航続距離に対する影響や冷暖房使用の影響など)を確認するとともに,充電時間や実用性など市場で受け入れてもらうための条件を探り,併せて実証試験のデータを収集/解析する。
 先行共同研究用の車両では出力電圧330V/容量16kWhのリチウムイオン2次電池を搭載,最高速度で130km/h,10・15モードの航続可能距離で130kmの実現を目指す。さらに,フリートモニター試験用の車両では,リチウムイオン2次電池の容量を20kWhに増やし,同航続可能距離を160kmに延ばす計画としている。

シングルモータ方式に
 今回開発したEVは,ベース車として軽自動車の「i」を使う。その選定理由はリア・ミッドシップ・レイアウトを採用しているため,車体構造をほとんど変えずにEVにできるからだ。
 同レイアウトでは,後輪の車軸近くにエンジンとトランスミッションを,床下に燃料タンクを搭載している。それらの代わりに後輪の車軸近くにモータ/インバータ/充電用DC-DCコンバータとそれらを保持するリア・シャシクロスメンバを,床下にはリチウムイオン2次電池パックを積めばEVにできる。プラットフォームや車体をほとんどそのまま流用できるため,ベース車と同じ居住スペースを確保できる上,荷室スペースもそれほど狭めずに済む。さらには,EV化のコストも抑えられる。

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図●三菱自動車が共同研究用に開発した電気自動車「i MiEV」