日立製作所380億円。パイオニア,20~30億円。大手電機メーカー2社が,相次ぎ2006年度の連結業績予測に巨額の損失を織り込んだ。前者は2006年7月に見込んだ営業利益の約21.1%,後者は同じく11.1~16.7%に相当する額である。

 両社の損失の理由は共通している。いずれも,銅,アルミニウム,銀といった原料の高騰によるものである。原料の価格が予想を上回って上昇したため,損失の上乗せを余儀なくされた。「2006年度の業績予測の中で,2006年4月には原料高騰による損失を200億円としていたが,予想を超えて原料が高騰したため9月には380億円とさらに多額の損失を見積もった」(日立製作所)。

機器生産へ影響及ぼす原料不足
タングステンと希土類元素に注意

岩間 公秀
野村総合研究所
技術・産業コンサルティング一部
技術経営コンサルティング室
副主任コンサルタント
中島 崇文
野村総合研究所
技術・産業コンサルティング一部
技術経営コンサルティング室
コンサルタント

今後も不足が続き,調達がさらに困難になる可能性が高い原料が希土類元素とタングステンである。いずれも希少金属(レアメタル)の一種で,さまざまなエレクトロニクス機器や部品に欠かせない。以下では,原料の動向を調査する野村総合研究所のアナリストに,希土類元素とタングステンの不足をもたらす原因と機器メーカーが採るべき対策を論じてもらう。 (根津 禎=本誌)