「民生用テレビとして初めて『xvYCC』に対応した」――。2006年9月にソニーが発売した液晶テレビ「BRAVIA」の上位機種の説明には,耳慣れない技術用語が躍る。

 xvYCCは動画用の色空間規格で,2006年1月に国際電気標準会議(IEC)が国際標準として発行した。現行の動画コンテンツが前提にしている「ITU-R BT.709」(静止画では「sRGB」に相当)では表現できない色を扱えるのが特徴で,例えば現行規格では55%しか表現できない「Munsell Color Cascade」と呼ばれる物体色の色票を,ほぼ100%表現できる。ITU-R BT.709ではRGB信号の0~1の値を扱っていたのに対し,xvYCCは負および1以上の値も扱えるように定義したからだ。冒頭のソニーの液晶テレビは,xvYCCに対応した(RGBの負および1以上の値を切り取らずにYCbCr信号に変換した)動画コンテンツのデータを入力すれば,それを所望のRGB信号に変換して表示する演算処理回路を搭載している。